地方同人誌即売会に参加して、惨敗した話。
こんにちは。
麻(@asasyhrinne)です。
突然ですが、「同人誌即売会」って知っていますか?
アニメや漫画、ゲームなどのファンが、その世界観やキャラクターを拝借して創作した同人誌を売ったり、好きな作家(サークル)の作品を買ったりするイベントです。
国内最大の同人誌即売会である「コミケ(コミックマーケット)」という名前くらいは聞いたことがある人も多いと思います。
本記事では、そんな同人誌即売会に、売る側として参加した時のお話をしたいと思います。
私が地方の同人誌即売会に参加したわけ
これまで学んできたことを生かしてみたかった
私はこれまで、いろんなビジネス書を読んだり、様々な資格・検定などを取得していました。
しかし、本を読んでも、資格を取っても、身についている気がしない、実践で生かせる気がしない・・・と、もやもやするものを抱えていました。
そんな中入ってきた、地元で近々同人誌即売会が開催されるという情報。
これは、これまでの知識を生かして本気で何かを売る、格好の場かもしれない!
家業を継ぐ前に、まずは小さなビジネスで試してみよう、と考えました。
絵を描くことへの再挑戦
私が漫画やアニメに熱中し、絵を描くことを趣味としていたのは、中学・高校のときがピークでした。
当時も同人誌即売会(以降、イベントと言います)には参加していて、それなりに楽しかった思い出があります。
その後は、受験や大学生活が中心になってしまったのですが、いつかまた参加したいな、と考えていました。
老舗家業見習いとしての新生活も始まったばかりの、今がチャンスだ!と思ったわけです。
交友関係を作りたかった
私は約10年間、故郷を離れていました。
SNSで多少のつながりはあっても、今でも会うほど仲がいい人はいません。
新たな分野・コミュニティに参加して、友達をみつけたかった。
ビジネスにおいて、コネ作りも重要ですしね!
戦略
ターゲットマーケティング
万人受けするものを狙うのではなく、商品を売りたいターゲットを絞ることは、ビジネスの基本です。
今回のターゲットは、以下のように設定しました。
- 漫画Aが好きな女性
- イベント初心者
- 経済的に、東京の大きなイベントには参加できない年齢層(=中学生~高校生)
同じ日に東京でも大規模なイベントが開催されていたので、ある程度オタク歴が長く、経済力がある人はそっちに流れてしまうと考え、
この年代に興味を持ってもらえる絵柄、ものにしよう、と思っていました。
ブルーオーシャン
これまたマーケティングでよく聞かれる、「競合がいないジャンルを狙え」というやつです。
私が選んだジャンルは、週刊少年ジャ〇プで連載されている、それなりの人気かつ知名度を誇る漫画Aでした。
これだとブルーオーシャンにはならないのですが、その中でも、あるキャラクターBに関するグッズのみ作ることで、ブルーオーシャン化したのです。
これをすることにより、
- 漫画Aが好きな人
- 漫画Aが好きでかつキャラBが好きな人
- 漫画Aが好きだけど、キャラBにはそこまで注目してなかった人
という3パターンのお客さんを取り込めるのでは?と考えました。
また、「麻といえば漫画AのキャラBが好きな人」というキャラ付けをし、印象を持ってもらえたら、より人間味が増し、友達作りにもつながるかな、という期待も込めています。
購買意欲を高めるための工夫
ここまでで、ターゲットや戦う市場は決まりました。
漫画Aが好きな人は、何かしら興味を持ってもらえるだろう。
でも、やはり買おう!と思ってくれる、もう一押しがあればいいな・・・・。
それで思いついたのが、商品を買ってくれた人の中から抽選でプレゼントを渡す、というものでした。
プレゼントは、イラスト入りの色紙にしました。
無名の人の色紙なんて誰がほしいの?と家族に突っ込まれましたが、当時の私は、この絵の出来ならもらいたいと思ってくれる人が多少はいるだろうという根拠のない自信がありました(^^;
SNSの活用
現代のプロモーションには欠かせない、SNS。
イベント開催の1週間ほど前から、イベント参加の告知や、売る商品、作業の進捗状況などをツイートしていました。
さらにイベントの主催側のアカウントや、ほかの参加者と思われるアカウントを積極的にフォローして、
「当日はよろしくお願いします」とリプを送ったり、ほかの参加者のツイートにいいね!を押したりしていました。
当時は主催側のアカウントがリツイートしてくれたり、それをみた他のアカウントがいいね!をくれたりして、多少の手ごたえを感じていましたね。
イベント当日の様子と結果
私がガチで参加していた時よりもだいぶ人が減ったなぁと思いながら、一般参加者(買う側)の入場がスタートしました。
知名度も画力もない私、接客で勝負しよう!!と考えていましたが、
ブースの前を、ちらりともせず素通りする人。
ちらりとしても、「ご自由にお取りください」のチラシも取らず、すぐ去ってしまう人。
コスプレや、友達との会話に夢中な人。
そんな人たちを目の当たりにしてしまうと、怖気づいてしまいました。
心の中で「もしかして、これは一つも売れないのでは?」という考えが頭をよぎりました。
せめてお隣さんと仲良くなろうとしましたが、
両側とも友達と一緒に参加しており、ずっと身内で話しているので(しかも私よりだいぶ若い)、私の入る余地はありません。
3時間経過すると、ぼちぼち撤退する参加者も増えてきました。
それでもわずかな期待をもって、ブースに居座り続けましたが、とうとうイベント終了まで私のブースの前に立ち止まってくれる人は現れず、
商品が売れるどころか、一枚のビラを捌くことすらできなかったのでした。
敗因
時代の変化についていけていなかった
私が今回商品として売ったのは、ラミカと呼ばれる、イラストをラミネートしたものでした。
15年前の地方同人誌即売会は、ラミカや便せんが商品の主流だったように思います。
でも今や、たくさんのグッズがネット上で発売され、twitterやpixivといったSNSで、素晴らしい絵師さんの絵がいくらでも無料で見られる時代。
ケータイ・スマホの普及で、手紙交換なんてしないでしょう。
時代の変化についていけず、「前はこれが売れてたから」と、過去にとらわれていたし、 これまでほとんど絵をかいてこなかった私が、今の上手い人がネット上にあふれている太刀打ちできるわけなかった。
人間の本質を見抜けていなかった
今回の出来事を大学時代の漫画・アニメ好き友達に報告すると、衝撃的な指摘を受けました。
「自分の興味のあるジャンル以外は、全くの無関心の人が多いんじゃないかな?」
確かに、
「無料だったら、多少はもらってくれるだろう」
「推しというほどでもないけど、漫画Aを好きな人なら興味を持ってくれるだろう」
と、実際に意見を聞いたわけでもないのに、自分だったらこうするとか、自分に都合のように考えていたところがあったように思います。
人間はもっと利己的なもので、いらないものは無料でも貰わないし、興味のないものをわざわざ好きになろうということもしない。
なんというか、私、人間を信じすぎたのかな(笑)
有名人がある製品を取り出し、「これいいよ!!」と言ったら、「〇〇さんがおすすめするなら、私も買おうかな」という気にもなるでしょう。
でも、無名の私が同じことを言っても、だれも信用してくれない。
そのことをとても実感しました。
交流の場としてふさわしくなかった
今回、ほかの参加者を見ても、売れているのはものすごく絵がうまい人や、すでに知名度のある常連さん、それ以外は友人同士の交流を楽しんでいる、という印象でした。
相手がそれを求めていないのに、必死になって交流しようとしてしまった。
きっと両隣の若い人たちには、しつこいおばさんと思われていただろうな、と反省です。。
総評:結構心が折れたけど、たくさん学ぶことはあった
今回は、大損に終わったわけですが・・・・、
私が想定していた通り「小さなビジネスを経験する場」として学ぶことはたくさんあったと感じます。
現在のマーケティング知識はフル活用したつもりでしたが、まだまだ分析が甘いところがたくさんありました。
私が選んだのは地方同人誌即売会ですが、モノ作りが好きな人はフリマとか、技術を売りたいという人はクラウドソーシングサービスを利用するとか、今はいろんな自分の売り方がありますね。
まぁ、今回はちょっと疲れてしまったので、しばらく家業以外の「小さなビジネス」はお休みにすることにします(笑)