老舗家業の見習いブログ

100年以上続く老舗菓子屋の一人娘の奮闘記。家業を継ぐかはまだ未定です。

家業を継ぐか継がないか問題

こんにちは。

麻(@asasyhrinne)です。

 

私の家が老舗のお菓子屋だという話をすると、友人知人には、

 

 「家は継がないの?」

 「麻の代で途絶えちゃうの、もったいないよ!!」

 

 と言われてきました。

 

確かに、多くの人に食べてもらっているのを知っているので、

自分の家が100年続く老舗だということには誇りを持っています。

 

でも、今はまだ家業を継ぐ!!とは考えられないなぁ、というのが本音です。

 

 

やはり、自営業は大変。

 

物心ついた時から、祖父母も父母も家業。

学校から帰ったら、工場に出入りしてつまみ食いして、従業員さんにかわいがられる。

 

そんな生活は、はたから見ると幸せな家族の形なのかもしれません。

 

でも昔から、母は昔から私に、口を酸っぱくして言いました。

 

「自営業なんて忙しいだけで全然儲からない!!!」

「就職するなら、大手企業か公務員!!」

「資格もちゃんと取っておかないといいところ就職できないよ!!」

「麻は長男や自営業の人とは結婚しちゃあかん!」

 

母は明るく、好奇心旺盛で、愛情持って私を育ててくれましたが、勉強や仕事に関することだけは厳しかったように思います。

 

その言葉を信じて猛勉強し、とりあえず大学には進学しましたが、結局戻ってきてしまいました。

 

 そして実際に家で働いてみて、あそこまで自営業を嫌がる母の言ってることがわかってきました。

 

会社員と違って、働いた時間だけお給料がもらえるわけじゃない。

 

有給なんてものは存在しない。

 

注文が入れば、休みでも働く。

 

私はまだ一応父に雇われているという立場なので、そこまでではないですが・・・。

 

毎日、休みなく働く父母を見ていると、本当に大変そう。

 

私ですら繁忙期はへとへとなのに、もう還暦の父母があそこまで働いているのは、もう頭が上がりません。

 

「老舗」という枷

 

「自分の好きな時間に働けるじゃん」

「自分の好きなことを仕事にできているんだからいいじゃん」

 

 これらの意見は、自営業といってよく聞く意見ですが、聞くたびに

それって代々継いできた家業には当てはまらないよね?と半ば怒りすら感じます。

 

老舗旅館とか、そんな休みないでしょ?

好きだから継いだわけじゃないでしょ?

 

それに、テクノロジーの進化や消費者のニーズによって変わらなければいけないのに、「老舗」という枷にとらわれ、なかなか変化できない。

 

もちろん新製品や新サービスを出して、変化し続けている企業さんはありますが、

うちは今入ってくる注文で手一杯。

 

個人商店や家族経営の老舗さんなどは、大体そんな感じなのではないでしょうか。

なかなか未来を考える余裕がないのです。

 

今のままじゃ、家業を継ぐのはリスキーでしかない。

こういった現状を考えると、今のまま家業を継ぐ気にはなれていません。

 

私はまだ現状を打破するアイディアを持ち合わせてはいないし、経営者に向いているとも思えません。

 

ただ、継ぐかどうかはまだわからないけど、現状を変えたい、という気持ちはあります。

 

せっかく一度東京に出て、会社に入った経験があるので、それらを活かして何か提案できたらな、とか、

現代ならではの経営戦略をもっと勉強して、取り入れていけたらいいなぁ、と考えています。

 

まとめ

人手不足や跡継ぎ問題は、たびたびニュースにも取り上げられています。

 

しかし、現代の技術の目まぐるしい進化や、人々の趣味嗜好の多様性を考えると、

老舗の零細企業が跡継ぎなく消えてしまうのは、しかたないのかもしれません。

 

 

私からすれば、「せっかくここまで続いてきたのにもったいない」という言葉は、

外野だから、責任がないから、言えるんだよね?と思ってしまうのです。

(じゃぁうちで働く?と聞いたら、きっと嫌って言われるでしょうし)

 

ただ・・・・、これまで築いてきた業者や消費者とのつながり、信用、ネームバリューを生かせることができるのは、老舗家業の強み。

 

そこを生かしたビジネス展開とかを、生産で精いっぱいな父母に変わって考えていくのが、今の私の使命と考えています。